片頭痛患者さんのうち、病院を受診している方は非常に少ないのが現状です。日本で行われた調査によると、片頭痛患者さんのうち一度も医療機関を受診していない方は69.4%と報告されています。しかし、同じ調査の中で、片頭痛患者さんの74%の方が、日常生活にかなり支障があると答えています1)。
片頭痛患者さんの受診率
片頭痛が日常生活に及ぼす影響
方法・対象: 日本全国から無作為に抽出した15歳以上の日本人4,029人のうち片頭痛の診断基準を満たした337人への電話・質問票による調査
Sakai, F. et al.:Cephalalgia. 1997;17(1):15-22.より作成
日常的に頭痛があるとそれを我慢することが普通だと感じてしまうかもしれません。また、「頭痛くらいで病院なんて」という、ご自身の思いだけでなく、周りの目も気になるかもしれません。しかし、日常生活に支障がある場合には、医師に相談することが改善の第一歩となります。
病院での受診
頭痛を診てもらえる診療科は、頭痛外来、脳神経内科、脳神経外科、内科、ペインクリニックなどがあります。
近年、頭痛を専門に診療する「頭痛外来」を設ける病院やクリニックが増えてきました。さらに、2005年からは頭痛について専門的知識を持つ医師に「日本頭痛学会認定頭痛専門医」を認定する制度が始まっており、頭痛診療を取り巻く環境は整いつつあります。
また、頭痛で病院を受診するメリットについては以下の通りです。
- ①頭痛は命に関わる病気のサインの可能性もある
検査を受けることで命に関わる病気かそうでないかを確認できる - ②自己判断ではなく、正しい診断、適切な治療を行うことができる
- ③適切な治療により頭痛の起こる回数、程度が改善し、生活への支障が少なくなる可能性がある
初診時の流れ
診察の流れは病院によって異なりますが、代表的なパターンは以下のようになります。
ステップ1
予約制の病院もあるので、その場合は事前に診療の予約をします。病院に着いたら受付で、頭痛があるので診療を受けたい旨を伝えます。
※受診は頭痛が起きていないときでも問題ありません。
※いま激しい頭痛がある場合や、今回初めてひどい頭痛が起きた場合はそのことも忘れずに伝えてください。
ステップ2
申込書や問診票を受け取り記載します。
ステップ3
順番が来たら診察室へ入ります。医師が問診票などに目を通した後、頭痛について質問しますので、心配せずに正直に答えてください。
ステップ4
必要に応じて、神経学的検査、CT/MRI検査、血液検査などの検査を受けます。
ステップ5
診断の結果に基づき、ご自身にあった治療方針が決定されます。
受診の前に準備しておくと良いこと
頭痛診療において適切な診断・治療を行うためには、医師が症状を正確に把握することが重要です。しかし、病院の診察室でご自身の頭痛の症状を医師にうまく伝えられない場合もあります。
受診の際は「メモ」を用意して、ご自身の頭痛について整理しておくとスムーズです。
- 頭痛が起きる時期、頻度、持続時間は…
- 痛む場所は…
- (例:頭の片側、全体 など)
- 痛みの感じ方は…
- (例:ズキンズキン、締め付けられる感じ など)
- 頭痛が起こるきっかけは…
- (例:天候の変化、アルコール、生理 など)
- 頭痛時や頭痛の前に見られる症状は…
- (例:吐き気、肩こり、光・音・においに対する不快感 など)
- 頭痛のとき、じっとしている方が楽か、動いた方が楽か
頭痛ダイアリーの活用
治療を進めていく上では、ご自身の頭痛の様子を記録していく「頭痛ダイアリー」が役立ちます。記録を残すことで、頭痛の特徴や、頭痛が始まるきっかけが分かり、予防に役立つことがあります。それだけでなく、医師が治療を考えるための重要な情報にもなります。
頭痛ダイアリー
出典
- 1)Sakai, F. et al.:Cephalalgia. 1997;17(1):15-22.