小児の片頭痛患者さんでは学校で強い痛みが起きる可能性も高く、日常生活の支障度も高いことから、周りの大人の理解が不可欠です。
小児における片頭痛の有病率は、小学生で3.5%、中学生で4.8~5.0%、高校生で15.6%と報告されています1)。初潮の時期である12歳以降では男性より女性で有病率が高くなることが知られており、女性ホルモンが影響を及ぼしていると考えられています2)。
小児の片頭痛の特徴
小児の片頭痛では、頭痛の持続時間は2時間から72時間と、成人(4時間から72時間)と比べて短い傾向があります。また、頭の両側が痛む場合も多く、通常、前頭部から側頭部が痛みます3)。
理解されにくい小児の片頭痛
小児の片頭痛はしばしば周囲の大人の理解を得られず、適切な対処・治療が受けられていない場合も少なくありません。子どもは自分の症状を上手に表現することができず、頭痛のつらさを十分に伝えられないことがあります。また、熱や風邪の症状がない場合には「仮病」、体を動かす授業を休む回数が多いと「怠け」と思われてしまうこともあります。
しかし片頭痛は、成人だけでなく、小児でも発症する病気です。成人と同じように強い痛みや吐き気・嘔吐などの症状を伴うため、生活への支障度が大きいとされています。周囲の大人が子どもの頭痛のつらさを理解し、適切な対処や治療へと導いてあげられるように接していくことが重要です。
出典
- 1)監修/日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会. 編集/「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会. 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院;2021.
- 2)発行/日本頭痛協会, 藤田 光江. 知っておきたい 学童・生徒の頭痛の知識. 日本頭痛協会;2013.
- 3)訳/日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会, 国際頭痛学会・頭痛分類委員会. 国際頭痛分類 第3版. 医学書院;2018.