片頭痛は女性に多く、女性の片頭痛患者さんの約半数は生理前から生理中に頭痛が起こっています1)。女性は月経周期に伴ってさまざまなホルモンが変動しますが、特に生理前のエストロゲンの急激な低下が、頭痛を起こすと考えられています2)。
片頭痛とエストロゲン低下の関係※
※図はイメージ(概念図)です。
生理に伴う片頭痛の特徴
生理前から生理中に起こる片頭痛は前兆がないことが多く、他の時期に起こる頭痛に比べて、重症で持続時間が長く、一度よくなっても再発しやすいという特徴があります。また、頭痛薬を服用しても治りにくいため、患者さんの日常生活に重大な支障をきたしやすいといえます。
生理時の頭痛に対する認識
女性の片頭痛患者さんのアンケート調査によると、78.1%の方は生理時に起こる片頭痛を「生理痛の一種だと思う」と答えていました。また、頭痛で病院を受診したことがある方は15.5%と少なく、生理時の体調の変化に対して市販薬で対処した方は82.7%でした3)。多くの女性は生理時の片頭痛のことを「生理痛の一種」と認識しており、病院への受診率も低いことから、適切な治療を受けている方は少ないという現状があります。
方法・対象:20~40歳代の日本人女性を対象としたインターネット調査で、生理に関連する体調変化に頭痛がある
と答えた600名のうち、片頭痛および片頭痛の疑いの診断基準を満たす388名
五十嵐久佳:新薬と臨牀. 2009;58(1):27-36.
患者さんの中には片頭痛を生理痛の一種と思い込み、痛み止めを必要以上に服用してしまう方もいます。生理時に強い頭痛があり日常生活に影響が及んでいる方は、正しい対処ができるよう病院で適切な診断・治療を受けることが大切です。
出典
- 1)監修/日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会. 編集/「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会. 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院;2021.
- 2)塚本路子ほか:Jpn J Psychosom Med. 2018;58(2):183-189.
- 3)五十嵐久佳:新薬と臨牀. 2009;58(1):27-36.